社会的課題の解決を目指すNPO等非営利組織の社会貢献活動指針
1.取り組む課題を絞り込む
解決策(達成策)を描けるよう、取り組む社会的課題の範囲を絞り込もう
2.社会的課題の現状を丁寧に把握する
的を射た解決策を導き出せるよう、取り組む社会的課題の現状を丁寧に把握しよう
3.活動のゴールを数値化する
自己満足型の取り組みとならないよう、社会貢献活動のゴールを明確化しよう
4.ゴール達成策を鮮明に描く
組織の力を最大限引き出せるよう、ゴール達成策を明確かつシンプルにしよう
5.ゴールと達成策をセットでアピールする
理解者、協力者を数多く集められるよう、ゴールと達成策をセットでアピールしよう
1.取り組む課題を絞り込む
NPOは、
- 保健・医療・福祉
- 社会教育
- まちづくり
- 観光
- 農山漁村・中山間地域
- 学術・文化・芸術・スポーツ
- 環境の保全
- 災害救援
- 地域安全
- 人権・平和
- 国際協力
- 男女共同参画社会
- 子どもの健全育成
- 情報化社会
- 科学技術の振興
- 経済活動の活性化
- 職業能力・雇用機会
- 消費者の保護
- 連絡・助言・援助
- 条例指定
以上、20の活動分野(平成27年3月現在)から、活動領域を選定して、社会貢献活動に取り組みます。
社会的課題の解決を目指す際、その対象領域が大きくなればなるほど、人や時間、資金などの投入資源が膨らむこととなり、巨大な組織でなければ対応しきれなくなってしまいます。
解決したい社会的課題を
たとえば、5W1H
- Who 誰を対象とするのか
- What 何を対象とするのか
- When いつの事象を対象とするのか
- Where どのエリアを対象とするのか
- Why 何に起因するものを対象とするのか
- How どのような状況にある事象を対象とするのか
といった視点から、絞り込まないと、その課題の状況把握すらできなくなってしまいます。
課題解決後の具体的なイメージを描けるよう、対象とする社会的課題を絞り込みましょう。
課題が絞り込めれば、活動への参画者、理解者も集めやすくなると思います。
2.社会的課題の現状を丁寧に把握する
対象とする社会的課題が絞り込めたら、その課題の現状を可能な限り詳細に把握しましょう。
目指すは、
「この社会的課題については、この団体に聞けばわかる」
とご指名頂ける状態です。
ここでも、例えば、前項同様5W1Hで、
- Who どなた達が
- What 何が
- When いつの時点で
- Where どこで
- Why どのような理由で
- How どのような状況か
といった視点で、課題の現状を丁寧に把握すればするほど、その
解決策=NPOとしての取り組み内容
を鮮明にイメージできるようになります。
たとえば、
- 地域の高齢者の方々の7割は、移動手段がなく、日常生活上の買い物に不便を感じている
- このエリアに住む子どもたちの1割は、放課後一人で過ごしている
- ABC川の水質を3か月にわたり調査したところ、XYZが10%増加していた
といった形で、現状を数値化することができれば、活動のゴールもその解決手段も鮮明にしやすくなると思います。
3.活動のゴールを数値化する
「この活動領域で社会に貢献しています」
と表現するより、
「この活動領域で、・・・のような状況に置かれている方々を向う5年間で8割削減する活動に取り組んでいます」
と表現できた方が、協同者、賛同者を増やしやすくなります。
自団体の活動のゴールは数値で表現できていますでしょうか。ゴールが数値化されていないと、周囲からは、何をやっているのかわかりにくく、自己満足型の取り組みに陥ってしまいます。
- 人数
- 件数
- 回数
- 日数
- 時間
- 金額
- 割合
- 面積
等々
ゴールを数値で設定することにより、解決手段も鮮明化しやすくなると思います。
4.ゴール達成策を鮮明に描く
ゴールを数値化できたら、次は、その達成策を練ります。
達成策について検討する際、自団体単独でできるかどうか?という視点は横に置き、ゴール達成に効果的と考えられる手段を洗いざらい抽出します。
抽出された手段一つひとつについて、その手段によって何がどれだけ(数値)、どのように変わると推定できるか整理します。
たとえば、
- 訪問回数を1回増やせば、さらにこれだけの作業ができる
- このエリアの全世帯がこの活動に取り組めば、XYZという物質を5割削減できる
- サービス提供時間を1時間延ばせば、7割の家庭をカバーできる
といった形です。
手段が整理でき、ゴール達成への道筋が鮮明に描けたら、次は、だれがその活動を担当できるかを検討します。自団体で対応できなければ、
・参画者(団体)
・協力者(団体)
を探すこととなります。
達成手段(=活動内容)が不鮮明であったり、複雑なものであれば、参画してくれる方、協力してくれる方を見つけ出すことができません。
ゴール達成策(=社会的課題の解決策)は、明確でシンプルに整理しておくことが必要です。
5.ゴールと達成策をセットでアピールする
多くの場合、NPOは会員や賛助者、寄付者、協力者を募って、社会的課題の解決に取り組みます。
サポーターを募集する際には、「○○の解決に取り組んでいます」と提示するよりは、
「○○の解決に取り組んでおり、20XX年までに□□を△△%とすることを目標とし、以下の活動に取り組んでいます」
と提示した方が、効果大となります。
NPOのホームページや活動報告書、会員募集レター等、広報ツールのすべてにゴールと達成策、そして現在の進捗度を記して、より多くのサポーターを集めましょう。