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社会貢献活動の指針

企業の社会貢献活動指針

企業の社会貢献活動指針

1.本業で解決(支援)できる社会的課題を明確にする

事業基盤の安定、拡大につながるよう、本業を通じて解決できる社会的課題を明確にしよう

2.社会的課題の現状を丁寧に把握する

自社単独あるいは、地方公共団体・NPO等の協力を得て、解決に取り組む社会的課題の現状を丁寧に把握しよう

3.社会貢献活動のゴールを数値化する

「社会的課題の解決レベル」と「本業への寄与度」、双方をゴールとして明確化しよう

4.ゴール達成策として現有経営資源を最大限活かす

ステークホルダーの理解を得られるよう、ゴール達成策として現有経営資源を最大限活用しよう

5.ゴールと達成策をセットでアピールする

理解者、協力者を数多く集められるよう、ゴールと達成策をセットでアピールしよう


1.本業で解決(支援)できる社会的課題を明確にする

企業は経済的利益を得て、持続的にステークホルダーへ還元することを目的としている組織です。
この目的に叶う形で社会貢献活動に取り組むことが企業には求められます。

事業そのものが社会の需要に応えており、安定した経営がなされていれば、その時点で、社会に貢献していることになりますが、「社会貢献」という視座を持つ方々が増加している世の中において、将来を見据え、より一層の事業基盤の安定、拡大に取り組むには、社会的課題の解決や解決支援という視点が欠かせなくなるでしょう。

ただし、単に

  • 良い活動をしている非営利組織があるので、寄付しよう
  • 社会貢献機会があるので、社員を参加させよう

と、本業とかけ離れた領域で取り組むのは、企業の存在目的と相反することとなり、一部のステークホルダーの理解しか得られません。

企業も社会貢献活動も長きにわたって持続させていくためには、本業領域で社会的課題の解決に取り組み、多くのステークホルダーから理解を得られるようにするべきです。

現有の商品、サービスあるいは組織構造を通じて解決できる、あるいは解決の支援ができる社会的課題を見つけ出しましょう。

2.社会的課題の現状を丁寧に把握する

企業の社会貢献活動レポート等を拝見すると、社会的課題に係る当事者位置から見て、この活動がなぜ解決策として選ばれたのだろう?
と感じることがあります。

マーケティングに長けた企業であれば、現状認識を徹底して行うはずなのですが、社会貢献活動における現地ヒアリングやデータ分析等は、予算や人員なども限られますので、大雑把になりがちです。

自社単独で現状を把握することが難しいケースであれば、対象の社会的課題に関与する地方自治体やNPO等の協力を得て、通常のマーケット分析同様、的を射たゴール設定、手段抽出ができるように、現状を丁寧に把握しましょう。

3.社会的活動のゴールを数値化する

社会的課題の解決を目的とする社会貢献活動であれば、ゴールを数値化する必要があります。

たとえば、
「環境保全に貢献します」
とだけスローガンを掲げたとしても、ゴールが不鮮明ですので、活動計画が場当たり的なものとなってしまいます。

前項「社会的課題の現状を丁寧に把握する」の段階において、現状把握がしっかりできていれば、数値で評価できる指標も見つかると思います。

  • 緑化率
  • 透明度
  • 出荷量
  • 生息数
  • 発電量
  • 栄養価
  • 識字率
  • 進学率
  • 就職率
  • 収入
  • 外出回数
  • 通院回数
  • 介護度
  • 参加率
  • 開催数

等々

ゴールを数値で設定できれば、達成策の具体化は容易になると思います。

また、ゴールを設定する際、「社会的課題の解決レベル」と併せて、「本業への寄与度」を数値化すると、ステークホルダーの理解、協力が得やすくなると思います。

さらに、コーズ・マーケティングの展開におきましても、ゴールが設定されているか否かで、マーケティング施策が異なることになりますので、明確なゴール設定が求められます。

4.ゴール達成策として現有経営資源を最大限活かす

前段で、ゴールの数値化ができていれば、その達成手段も明確になってくると思います。

この達成手段は、現有の経営資源を最大限活かすことが肝要です。
自社以外の資源を多く活用するとなれば、その分コストが増えることにつながり、また、本業で解決するという視点から離れてしまいます。

自社の商品、サービス、組織構造をそのまま活かすことができれば、企業の存在目的にも叶いやすく、また、ゴール達成策の手段として、明確かつシンプルにアピールすることができますので、多くのステークホルダーの理解、協力が得られ、結果として、事業基盤の安定、拡大につなげられやすくなります。

5.ゴールと達成策をセットでアピールする

多くの企業が社会貢献活動に取り組む中、「社会貢献活動に取り組んでいます」というだけでは、全くアピール力がなくなって参りました。

本業のマーケティングに社会貢献活動を活かすならば、この会社ならではというアピールが必要です。

環境保全や被災地支援、保健活動、国際支援、子育て支援・・・
というテーマと活動内容だけを掲げている企業も多くありますが、社会貢献活動のゴール数値と経営資源を有効活用した達成策をともにアピールして頂ければと思います。

自社の経営資源を活用するコーズ・マーケティングは、社会貢献活動の目的、ゴール、達成策がわかりやすくまとめられているほどマーケットの注目度も高まり、これまで密接なつながりのなかった層から、理解者・協力者が生まれ、強固な関係を持つステークホルダーが数多く輩出されると思います。